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吉本興業で35年!竹中イサオの“泣く子も笑う”処世術-Vol.16

竹中イサオ

お笑いの総本山、吉本興業のプロデューサー生活13,000日、5,000人の吉本芸人と渡り合った竹中イサオの処世術コラム。社内外、業界内外からの悩みや疑問、提案に対してボケとツッコミでビシビシ返していきまっせ!

竹中 功(たけなか いさお)

1959年大阪市生まれ、吉本興業で約35年間タレント養成やイベント・映画製作を担当。数々の謝罪会見をこなした「謝罪マスター」でもある。
単行本「よい謝罪 仕事の危機を乗り切るための謝る技術」(1,400円+税)、日経BP社より好評発売中!

相談:「思ったことがなかなか言葉になって相手に伝えられません。どうやったら上手く話せるのでしょうか?」(カニよりうなぎさんより)

うなぎさんの質問を確認すると、「話し方がうまくなりたい」ことと、「上手くモノを伝えたい」と言う2つの面がありますね。

確かに私は「上手に話せるようになりたいのですが?」という質問をよく受けますわ。「会話力」を身に付けたいという欲求からですね。ただ私は落語家出身でもなく、話し方教室に通ったわけでもありません。言うなれば「OJT/On-the-Job Training」で鍛えられたと言えます。単に人前で話さねばならない機会がただただ多かったからと言えますが。

私は吉本興業で「広報」担当を長く勤め、新商品やイベントの案内などのお願い事の「ポジティブ案件」から、事件事故などトラブル系の「ネガティブ案件」など一手に引き受けておりました。
「広報業務」とは、「いつ、誰に、何を伝えるか」ということをメモを取りながら明確に自分の中でまとめ、それをリリース文に書き上げてFAXしたり、メールを送ったりするんですが、当然、取材で掛かってくる電話や時には記者会見も開くので、当然「しゃべり」のやり取りも溢れていました。そうなると「口上手」にならざるを得なかったのですね。「門前の小僧習わぬ経を読む」てなもんで、特に数々の全国ネットでの謝罪会見などの「ネガティブ案件」の司会や進行の担当になると、山ほどしたたかな質問をしてくるテレビ局のレポーターや新聞記者に対して、こちらも「口八丁」で返さねばならないので、少しは鍛えられもして、喋りも上手くなったというものです。

そう、ここは可能な限り、稽古のつもりでどんどんと誰とでも話してみると言うことですね。稽古というのも変ですが、人と話した分だけ上手くなりますよ!

雑談で十分です。
「雑談力」系統の本も売れていますな。皆さん「ネタ」や「ノウハウ」が欲しいんでしょうね。

そしてもう1点は「コミュニケーション力」から言うと、「誰に、何を伝えたいか!」を決める力が重要だと言えます。
話し方の目的を、「上手に話すこと」から「伝えたいことを話す」に変えてみるのです。
例えば相手が兄弟や家族の時、モノを伝える時には緊張もしないでしょうし、シンプルに話せますよね。「ちょっと、そこの机の上の新聞、取って!」「今度の休みの日、みんなで公園に行こう!」とかなどですね。伝えたい項目がハッキリしているではないですか!?

前の文なら、読むのかゴキブリを叩くのかは知りませんが「新聞」が必要なのでしょう。次の文なら、「いつ」「誰と」「何を」「するのか」というのを「次の休みの日」に「家族」で「公園」に「行こう」を言うことを伝えているわけですね。このように「伝えたいこと」を明確にする作業がされていれば、あとは空気を読みながら気楽に声を掛けたり、敬語を使って丁寧に伝えたりすればいいのです。

あと、少しコツをお伝えするとすれば、「伝えたい内容が目に浮かぶような説明を加えながら話す」というのがあればなおいいですね!

皆さんは「落語」を聞きはったことはありますか?

座布団に座った落語家のお喋りと仕草だけで、聞き手が落語家の話の中の世界をイメージするという「想像力」を楽しむもんなんですね。
実は、この想像する力が脳の働きを高めると言われ、笑いの効果や効能には、ストレス軽減、免疫力の向上、心身のリフレッシュなど、メンタルヘルスケアに役立つと言われています。
そう、この想像力の向上はコミュニケーションにも大きく役立つ要素があると言えます。
落語をよく聞いて楽しむことを覚えたら、上手くコミュニケーションが取れるようになるという話しです。
皆さんを落語家にしようとしているわけではありません。ただ落語家のように「内容が目に浮かぶように」話すと、言葉のキャッチボールが上手く出来るようになるという話しです。

今回は私の大好きな笑福亭仁鶴さんの「壺算(つぼざん)」を引用してみますので、これで練習してみましょう。決して喋りの稽古ではないですよ、イマジネーションの鍛錬です

実際は、仁鶴さんの声のトーンやテンポ、立ち居振る舞いもあって爆笑できるんですが、ここは粗いですがテキストにしてみましたんで、読みながら想像力を高めてください。映画監督や舞台の演出家も同様に、こういったテキストや台本(脚本)を土台に頭の中で「ビジュアル化」を進めているのです。これもイマジネーション向上の練習になります。ついでに笑ってください。またオチは書いていません。ここは皆さん考えてください。分かったらメールくださいね。何も景品はありませんが・・。

 「壺算」

ある男、引っ越した際、たまたま水壺が割れてしまい、新しい壺を買いに行く事になったので、買い物上手の兄貴分の徳さんに付いてきてもらうという噺(はなし)。その男が欲しいのは嫁さんに頼まれた2荷(か)入りの壺だった。(1荷=60リットル)

瀬戸物屋に行った二人。徳さんは交渉の末、1荷入りの壺一つ3円50銭のを値切って3円にしてもらう。

相棒はその3円を払い、二人で壺を担いで歩き出す。

その時、相棒は「2荷入りの壺を買わなければ嫁さんに怒られるで」と言うので、徳さんは「分かってるがな」と言いながら二人は再びその店に戻る。

徳「わしらの事、覚えててくれたかな。やっぱり2荷入りの壺が欲しいねん。2荷入りの壺を持って帰るから縄を掛けてくれるか。ところでいくらやねん」

番頭「1荷入りの壺が3円50銭ですんで倍の7円に・・、あんさんは買い物が上手でんなぁ。さっきのが2個やから6円でようございます」

徳「ところでさっき3円渡したな」

番頭「へぇ、ここにまだ置いたままになってます」

徳「で、今さっき買うたばかりのこの1荷入りの壺、下取りしてくれるな。いくらやねん?」

番頭「そらもう、買うてもろたばかりのなんで・・・3円でよろしいですがな」

徳「そこのさっき払ろた銭とこの下取りした3円、ほな持って帰ってええな」

番頭「・・・もう一度言ってもらえますか?」

徳「ちゃんと聞いてるか、そこに置いてある3円と下取りした壺代3円で計6円やろ。2荷入りの壺が6円やから持って帰ってもええな」

番頭「分かりました。どうぞお持ち帰り下さい」。

(相棒はおかしくてしょうがない。2荷入りの壺を担いで笑っている)

番頭「(気が付いたのか、二人を呼び戻して)どうも、すんまへん、ここに銭が3円しかないんですが!」

徳「お前、この1荷入りの壺を3円で下取りしてくれる言うたやないか!?」

番頭(現金と壺を見比べて)「1荷入りの壺の分を入れるのを忘れていました。どうぞお持ち帰り下さい」

(二人が担ぎ出すと番頭、また戻ってくれと呼び戻した)

番頭「どう考えても銭が足りません」

徳「おい、店を出ると、勘定が足らん、銭がないと言われたら、わしらが壺を盗んでいるように見えるやないか!」

番頭「どうしても勘定が合わないもんで」

徳「それやったらソロバンを持って来い!」

番頭「持ってきましが、どの様に・・・」

徳「先に3円払ろたな、それを入れろ。その次に1荷入りの壺の3円を入れてみぃや。6円になるやろ!」

番頭「あとの3円を入れて良いものかどうか・・・」

徳「さっきの壺、引き取るんやろ。それやったら、その分、入れんかい。見てみ6円になるやろ!」

(番頭は丁稚に大きいソロバンを持って来させた。大きいソロバンでも答えは同じ。)

徳「何べんやっても6円やろう」

番頭「あんさんがゴチャゴチャ言うから分からなくなるんです。私も長い間、商いをしてますけど、こんなややこしい壺は初めてです」

徳「そうじゃろう。そこがこっちの***じゃ」

 

「***」のオチは今日は教えません。是非ともCDなどで落語を聞いて楽しんでみてください。今回は聞き手として、イマジネーションの向上を稽古してみましたが、次からは皆さんが、相手に物を言う時、目に浮かぶように工夫してみてください。きっと上手く伝わるようになります。

「話し上手な人」は、伝えたい内容を、絵が浮かぶように話しはるというのが肝やねん。

一回きりの人生、言葉のキャッチボールにはビジュアル化があると楽しいで!


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>>>LASSICイサオへのお便り窓口: marcom@lassic.co.jp


イサオの単行本が発売されました!

「よい謝罪 仕事の危機を乗り切るための謝る技術」(日経BP社 1,400円+税)


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