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吉本興業で35年!竹中イサオの“泣く子も笑う”処世術-最終回

竹中イサオ

お笑いの総本山、吉本興業のプロデューサー生活13,000日、5,000人の吉本芸人と渡り合った竹中イサオの処世術コラム。社内外、業界内外からの悩みや疑問、提案に対してボケとツッコミでビシビシ返していきまっせ!

竹中 功(たけなか いさお)

1959年大阪市生まれ、吉本興業で約35年間タレント養成やイベント・映画製作を担当。数々の謝罪会見をこなした「謝罪マスター」でもある。
単行本「よい謝罪 仕事の危機を乗り切るための謝る技術」(1,400円+税)、日経BP社より好評発売中!

相談:「イサオさんのFacebook、毎日楽しみに読んでいます。少し見ないでいると、とんでもないところに移動されていたりするので驚いてばかりです。いま私は小さな雑貨屋さんに勤めています。今回の相談は、今月より会社でSNS担当責任者になりました。と言っても私一人ですが。自前の通販サイトは持っているのですが、SNSを扱う者として何かコツや注意点とかがあれば教えてください。」(コクうまシチュー大好きっ子さんより)

シチューが大好きなんやね。ボクはビーフシチューに山ほど季節の野菜を入れているのが大好きやわ。何かええレシピがあったら教えてな。

ボクもFacebookInstagramはたくさんアップして楽しんでるけど、シチューさん自身はFacebookInstagramとかやってるのかな?
スマホからランチやスイーツとか旅行記とか、ササッとアップしてるんだったら慣れてるよね?同じ要領で商品の色々を紹介していけばいいと思うよ。仕事だからと言ってあまり肩に力を入れずに、スマートに上げてる感じがいいんやないかな?
あとは写真かな。最近はスマホでも一眼レフに負けないくらいきれいなのが撮れるけど、背景や照明にこだわるともっといいのが撮れて、商品の良さをより良く伝えられるかもね?

とは言え、ボクも素人なんで、SNSのノウハウについては専門家に譲るとして。
ボクの得意とする「コミュニケーション術」の視点から話をしましょか

いつも「コミュニケーション術」で重要やと伝えているのが「一文一義」と言うものね。InstagramでもFacebookでもTwitterでも、そこに添える文章の書き方が大事やねん
一文に複数の事柄を入れようとしないで、一つの文章に一つの事柄だけを書くようにするねん。句読点の句点(「。」やで)が多いようにするのがええと思うよ。そうすると、短い文章でも要点がよく伝わるねん。
例えば「朝7時に玄関の扉の前の牛乳を取りに行った時に、偶然ジョギング中の同級生の山本くんに会って、週末にBBQに誘われてん。」と書くよりも、「朝7時に玄関の扉の前の牛乳を取りに行きました。その時、偶然ジョギング中の同級生の山本くんに会いました。山本くんから週末BBQに行こうと誘われました。」と書いたほうが、伝えたい事が分かりやすくなるやろ。
これは人と話をする時にも使えるねん。主語と述語をしっかり区切って、1つずつ話すとええよ。言いたいことを上手く伝えるコミュニケーションと言えば、この「一文一義」が大事やで。

それと、広報専門家から言うと、別の角度からの注意点があるで。

今から一年半ほど前の201589日、長崎への原爆投下からちょうど70年経っていたその日に、あるエンタメ系の大企業の公式ツイッターで、「なんでもない日、おめでとう!」という投稿がされたんよ。
この元ネタは「A VERY MERRY UNBIRTHDAY TO YOUYES,YOU)」と言う「不思議の国のアリス」の中に出てくる歌の歌詞で、「あなたの誕生日ではない364日にもおめでとう」という意味で、誕生日でない日にも自分や人を祝福する気持ちを込めたもんやねんけど、さすがに日本の89日はその日はそういう日やないよね。
結果的には批判を受けてすぐに削除され、「ご不快な思いをさせてしまう不適切な表現がありましたことを深くお詫び申し上げます。」とお詫びの投稿をすることになったんよ。ちょっとした事でもこういう発信は世界中の人に届くわけやから、文化や歴史の認識や気遣いも重要なんよね。
今なら、今日が何の日なのか調べればすぐに分かるわけやから、チェックする事を忘れないで!

ところで、吉本興業所属の芸人さんたちは個人でのSNS発信はOKやねん。

よそのタレント事務所やプロスポーツのチームでは「個人的なSNSは禁止」と言うところもあるねん。会社を通さずに勝手に発信されたことが都合悪かったりして、会社が管理できひんかたら困るからやらしいけど、吉本は自己責任で個人のニュースや意見の発信はOKなんよ。若手芸人がイベントする時、前日まで芸人自身が一所懸命に宣伝して1枚でも切符が売れるようにお願いしたり、自分が出演したテレビの番組のPRを局のプロデューサーや吉本のマネージャーの許可をもらって上げたりするんよね。シビアなことでも責任を持って発言もしたりしてるよ。

と言うても失敗も多いのが吉本らしいところやね。
たまに芸人さんが一般人からの投稿に対して腹立てて、書き込み合いして喧嘩になる時があるんよ。ええ歳した大人がカァーッとなって書き込みでし合いしよるねん。素人さんと「面白い」「面白ない」とやり合いして、その相手のプロフィールをよく見たら小学生4年生の女の子やったこともあったらしいわ。
そんな事故が起こらないように、ボクは「コンプライアンス研修」と言って、芸人さんに「SNS投稿時の注意」を喚起しに回ったもんなんよ。

そして色々と彼等の投稿を読んで、調べたりすると、お酒を飲んでる時にトラブルが多いようやったんよ。それで、ここを重点的に研修しようということで思い付いたのが、「飲んだら乗るな!乗るなら飲むな!」ならぬ、「飲んだら書くな!書くなら飲むな!」という標語やってん。
早々に、ボクはウーマンラッシュアワーの村本君に言いに行くことになりました。
SNSで投稿する時、酒を飲んでないか?クルマの運転と同じや。『飲んだら書くな!書くなら飲むな!』言うねん。注意してや。頼むで。よう覚えといてや。」と。
神妙な顔をして話しを聞いてくれたんで安心しておりましたら、その後のフジテレビの「人志松本すべらない話!」に村本くんが出演したとき、この様子をネタにして、「SNSで失敗が多いキングコングの西野や南海キャンディーズの山里とかボクとかが会社に呼び出されて、弁護士や警察のOBや会社の偉いさんが来て『飲んだら書くな!書くなら飲むな!』と唱和させられましてん。」とすべらずに大爆笑を取っていました。その会社の偉いさんってボクやん!当時専務やったんでね。
しかしそれだけ頭に入っていたということやろうね、改めて安心しました。その後も村本くんは SNSでは炎上狙いの彼なりの戦略で世間をお騒がしつつ、少し暴走もしながら運転して活躍してくれているようで喜ばしい限りですわ。

SNSは個人的なメッセージも発信できるし、モノも宣伝して販売できるし、分からないことがあれば誰かが教えてくれるし、美味しい店にも出会えるし、昔の友人にも偶然出会えるし、そして喧嘩をしてしまうこともあるし、でも「謝罪」もそこでできるし、相手が一人であれ不特定多数であれ、直面はしていないけど直接的な会話ができるのよね。こんなに楽しいことはないよね。もっともっと上手に使えるようになるといいね。色々得することもあると思うし、きっと雑貨屋さんも繁盛するよ!

最後に一つ、年下のサーファーくんから聞いた言葉を。
「今日の一番の波乗りは誰?」という問いに、「The best surfer is having fun the most」という答えがあるらしいねん。
そう、「楽しんでいる人が一番やで!」と。
上手くやろうというだけではなく、何事も楽しんでやることが肝やで。

 一回きりの人生、今の時代は自分自身がコンテンツであり、かつ自分自身がメディアになることができるねん。
慎重に、けれど楽しんで、情報の発信者になってや!

と言うことで、短い時間でしたが、この連載はこの回でおしまい。また何処かでお会いしましょう!


「吉本興業で35年!竹中イサオの“泣く子も笑う”処世術」、ご愛読いただきありがとうございました!


イサオの単行本が発売中!

「よい謝罪 仕事の危機を乗り切るための謝る技術」(日経BP社 1,400円+税)


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