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不快な感情状態が生産性を低下させることを実証

2016年03月18日
【LASSIC感情医工学研究所レポート】Vol.3

 

LASSICが鳥取環境大学、鳥取医療センターと共同で設立した感情医工学研究所では、感情解析技術を産業分野に活かし、企業理念である「『らしく』の実現をサポートする」ことを目指し、実用化のための研究を行っています。

 

精神・心療内科の分野では、気分状態に不安を抱える患者が年々増加し、こころを良好な状態に導くメンタルヘルスケアが注目されています。また、日本人の生産性が諸外国に比べて低いことが課題となっている中、アンガーマネジメントなどの感情コントロールは生産性を向上させる効果があると注目されています。

しかし実際に、感情と生産性の関連性を明らかにするような研究はあまり行われていないため、有意なデータが必要となっています。

そこで今回、感情状態と作業効率にどのような関係があるかを測定する実験を行いました。

 

実験の概要

実験は、被験者に感情刺激を与えた後に1分間の入力作業を行わせ、その作業効率を測定するというものです。
その間、被験者の表情をトラッキングしておき感情状態を判定、作業効率との相関を確認しました。
作業効率を判定する指標は、「正入力数」と「正答率」としました。

方法の詳細

(1)表情のトラッキング

インテル®の生体データを認識する技術「RealSense™」を搭載したカメラで被験者の顔を常時撮影し、表情をトラッキングしました。

表情トラッキングの様子

 

(2)不快状態の判定

(1)の表情画像を、弊所が開発する「マルチモーダル感情分析システム」に入力し、7種類の表情(AngerContemptDisgustFearSadnessSurpriseJoy)と3つの感情(NegativePositiveNeutral)を計測しました。このうち、アメリカの心理学者ラッセルによるCore-Affectモデルを元に、「Anger」「Contempt」「Disgust」「Fear」「Sadness」を「不快な状態」と定義しました。

判定できる表情の種類

 

(3)感情刺激を与える

音楽や写真による刺激を与えるパターンと、弊所が開発する対話型感情推定システム「Everest」と対話させるパターンの2種類の方法を採用しました。

 

実験の結果

「不快な状態の時には、作業効率は低下する」

感情刺激に写真・音楽を使った場合、不快な表情が増えると正答率数は上がりましたが、正入力数は低下する傾向が見られました。
また、感情刺激にEverestを用いた場合、不快な表情が増えた時の正入力数については強い相関関係は見られませんでしたが、正答率は低下する傾向が見られました。

 また、Everestを利用した実験では被験者にアンケートを行いました。
その結果、感情状態が不快なほど正入力数、正答率ともに低下する強い相関関係が見られました。

 

実験に使用した感情推定・分析システムについて

弊所が開発する以下の2つのシステムを利用しました。

◯プログラムとの対話による感情推定システム「Everest(エベレスト)」

精神科医が臨床で使用している対話技術をアルゴリズム化してプログラムに組み込み、対話内容に応じて感情状態を判定しながら適切な応答を返すことで、感情状態の好転を支援するシステムです。

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Everestの対話画面

 

◯「マルチモーダル感情分析システム」

テキストベースの対話データを利用する「Everest」に対して、さらに音声や脈拍、顔表面の温度、表情等の生体データを利用して感情分析を行うシステムです。感情分析の精度を高めることを目的としています。

今回は、インテル®の生体データ(音声や表情、体温等)を認識する技術「RealSense™」を搭載したカメラを使い、顔の画像データを元に感情分析を行いました。

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マルチモーダル感情分析システムの全体像

 

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Everest」および「マルチモーダル感情分析システム」について詳細は、こちらをご覧ください。

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[らしくメディア|事例紹介]【感医研レポートVol.1】
感情解析技術を利用した開発事例

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終わりに

今回の実験結果から、感情マネジメントシステムを活用して業務中の感情状態をトラッキングし、不快な感情が強くなったことを検知することで、アラートをあげたり、「Everest」との対話を自動的に開始して感情状態を好転させるなどの支援を行うことにより、作業効率の低下を防止できる可能性があると考えられます。

今後は、測定期間を長くしたり、被験者を多くするなど、より多くのデータ収集を行い、引き続き実用化のための研究開発を継続していきます。

 

以上の結果は、2015127日に行われた、人間情報学会第22回講演会のポスターセッションにて発表しました。

 

■ポスター発表原文は下記リンクよりご確認ください。

「インテルRealSense™を応用したマルチモーダル感情分析システムの開発」PDF487KB

 

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Everestを応用して開発した「減煙支援システム」については、こちらの記事をご参照ください。

減煙支援システムimage

[らしくメディア|事例紹介]【感医研レポートVol.1】
機械対話に基づく感情遷移推定と「症状処方」への応用を発表

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今後もLASSIC感情医工学研究所の研究にご期待ください。

 

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