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2016.04.05 事例紹介

「タブレットによるリハビリ計画支援システムの有用性~FIMデータベースに基づいたクリニカルパスを元に~」を学会発表

【LASSIC感情医工学研究所レポート】Vol.5

 

~リハビリテーション病院向け臨床実験の結果を学会発表~

大山リハビリテーション病院と株式会社LASSICは2016年3月4日、5日「タブレットによるリハビリ計画支援システムの有用性~FIMデータベースに基づいたクリニカルパス(*4)を元に~」を学会発表しました。(回復期リハビリテーション病棟協会 第27回 研究大会 in 沖縄)

 

■目的

段階的な目標を患者と共有するための手段としてクリニカルパス(*4)(パス)は有用であり、我々もADL(*2)各項目の各月目標を過去のFIMデータから設定したパスを作成し、一定の効果を得ている。 しかし、紙面上による共有では、目標に対する患者自身の現在地を理解しにくいため、タブレット端末上に現在のADLの程度や目標をグラフで示すアプリを作成した(Smile Path(以下スマイルパス))。さらにスマイルパスでは、患者自身が次目標の設定過程に関わることが出来るように、医療スタッフの客観的評価と患者の主観的評価を次月目標値に反映させた。
この効果を検証するために、廃用症候群・運動器疾患用(伴に日常生活自立度判定基準ランクB)のスマイルパス運用前後のADL(*2)や転帰状況等を調査した。

 

■対象

対象はスマイルパスの運用前後1年間に回復期リハビリテーション 病棟に入院した患者91名とした。
除外基準:急性増悪や著しい認知機能障害等により治療継続が困難であった者

結果3 FIMの項目ごとの利得(運動項目)/結果4 FIMの項目ごとの利得(認知項目)

 

■方法

未使用群とスマイルパス使用群、それぞれの以下の項目について 比較した。
① 在宅復帰率 ② 在院期間 ③ BI(*3)利得(退院時BI(*3)-入院時BI(*3)) ④ FIM(*1)利得 ⑤ FIM(*1)の項目ごとの利得 ⑥ Vitality Index(VI):意欲の評価
統計処理は対応のない2群の差の検定,χ2検定を行い,有意水準 は5%とした。本研究は後ろ向き調査であり、匿名化された患者デー タで検討を行った。なお本研究は大山リハビリテーション病院倫理委 員会の承認を得て実施した。また、開示すべきCOI(利益相反)はない。

 

■スマイルパスの効果

FIM(特に運動項目)の得点が大幅に改善!

スマイルパスを用いることで患者さん自身がリハ計画に参画でき、各月の目標を共有することで意欲的にリハビリテーションに取り組むことができる。

FIM(特に運動項目)の得点が大幅に改善!

 

2014年3月から、大山リハビリテーション病院と株式会社LASSICでは、今回のパスをカスタマイズしてプリセットしたタブレット端末「Smile Path for リハビリ」の実用化研究開発を進めてきました。今後もリハビリスタッフの方の業務効率の向上、患者様の在院日数の短縮、在宅復帰の促進に、ICT技術が寄与する社会を目指してまいります。

(*1)FIM=Functional Independence Measure:機能的自立度評価表のことです。特に介護負担度の評価が可能であり、ADL評価法の中でも、最も信頼性と妥当性があると言われ、リハビリの分野などで幅広く活用されています。
(*2)ADL=Activities of Daily Living:通常の日常生活に必要な基本的な活動のことです。具体的には、食事や排泄、整容、移動、入浴等の基本的な行動を指します。リハビリテーションや介護の世界で一般的に使われている用語の一つで、要介護高齢者や障がい者等が、どの程度自立的な生活が可能かを評価する指標としても使われています。
(*3)BI=Barthel Index: 日常生活動作の評価指標。
(*4)クリニカルパス=入院中に行われる検査・処置・指導・看護・食事などを入院から退院までの時間順にまとめた表。診察計画表。
(*5)後ろ向き調査=因果関係を検討するための調査法の1つ。現時点での結果別にいくつかの集団を設定し、過去にさかのぼって曝露の有無・程度を調査し比較する。

 

■当社で開発しているSmile Pathとは

「Smile Path for リハビリ」は、リハビリスタッフの方が患者様と一緒に目標達成を支援するためのタブレット端末向けアプリケーションです。 ADL評価の場面で使われています。取組内容について本人の主観評価と、監督者の客観評価から、次回メニューを設定するという弊社の特許技術を活用しています。

 

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