2025年12月15日
「ネバダ州が描く“脱カリフォルニアモデル”──テレワークが変える州経済」
1.リモートワーク時代の新潮流

カリフォルニア、と聞くと今となってはハリウッドよりも、シリコンバレーを思い浮かべる人も少なくないと思います。これまでは、名だたる大手テック企業が連なるシリコンバレーで働く、ということがステータスとすらされてきました。そんなカリフォルニアは「かつては」誰もが憧れる地でしたが、ここ数年で異変が起こっています。
「カリフォルニアン(カリフォルニア出身の人)」や多くの大手企業が、別の州へ居住地、または本拠地を変えるという、すなわち「脱州」している事実が近年浮き彫りとなっています。
この背景の根本には、2019年末頃から発生したコロナのパンデミックも大きく関係しています。このコロナ禍を契機に、世界中で私たちの働き方や暮らし方が大きく変化しました。オフィスへ毎日通勤することが「当たり前」だった時代から、インターネットを介してどこでも仕事ができるというリモートワークが常態化しつつあります。こうした背景の中で、働く人だけでなく、企業・地域にとっても新しい潮流が生まれています。
カリフォルニアがある米国の西海岸で展開されてきた、都市部・オフィス中心・通勤集中型の働き方から、場所にとらわれずに働き暮らすスタイルへと移行が進んでいます。これは単なるトレンドではなく、社会・経済構造そのものを揺るがす “新しい働き方の潮流” と言えるでしょう。
本稿では、そんな流れの中で、特に注目を集めているカリフォルニアの事例、都市部からの脱出(脱州)を背景に、企業・人材・地域がどのように“働く場所”を見直しているか、その中でも筆者が居住しているネバダ州を取り上げ「なぜ Nevada(ネバダ州)が選ばれているのか」、その代表的な都市であるリノ市とラスベガスの交通・働き方・経済という側面から掘り下げていきます。
2.カリフォルニア企業のリモート化と脱州の流れ
コロナ禍を契機にリモートワークが常態化
2019年末以降に発生した新型コロナウイルス感染症の流行により、数多くの企業が一時的に在宅勤務・リモート勤務を導入しました。これをきっかけに「オフィスに出社しなくても仕事が成り立つ」という認識が広がり、多くの企業が働き方を再検討しました。
例えば、従業員の安全・健康を配慮して「出社半分・在宅半分」というハイブリッド勤務を継続する例も出てきました。加えて、リモート勤務を行った結果、通勤時間削減、生産性・満足度改善などの副次的な効果も報告されており、従来の固定的なオフィス中心モデルへの見直しが進んでいます。
都市部オフィス維持コスト・通勤負担・人件費高騰
カリフォルニア州内の都市部(シリコンバレーやサンフランシスコ・ロサンゼルス周辺)ではオフィス賃料が高騰し、通勤インフラも逼迫してきました。また、土地・住宅・人件費も上昇傾向にあり、企業にとっては固定費が大きな負担となってきました。
こうしたコスト構造の中で、リモートワークの導入がコスト削減の手段としても注目を集めています。さらに、従業員も「長時間通勤」「高い生活コスト」「住宅購入の難しさ」という課題を抱えており、雇用者・従業員双方にとって働き方・暮らし方を見直すインセンティブが高まってきたという傾向が見られました。
「カリフォルニアを出る」企業の増加(本社移転・拠点分散)
こうした背景から、カリフォルニア州を拠点とする企業の中には、本社移転や拠点分散を実施する動きが見られます。たとえば、州外へ本社を移す企業、あるいはリモート勤務を前提に州外の人材を活用する企業が増えています。
実際、スタンフォード大学傘下の研究によれば、2018年~2021年の間にカリフォルニア州から他州へ本社を移転した企業が352社に上ったという報告があります(※1)。
出典及び画像引用元:Hoover Institution Economics Working Papers
また、2025年に出されたレポートでも、全体の3%とはいえども、Tesla、Oracle、ヒューレット・パッカードなどの大手企業を筆頭に、カリフォルニアを離れているとの言及があります(※2)。
脱州企業の代表例
●テスラ:CEOのイーロン・マスク氏が「カリフォルニアでは拡大に限界がある」と述べ、2021年にテキサス州オースティンへの本社移転を決行。(※3)
●オラクル:2020年12月前、カリフォルニア州レッドウッドシティからテキサス州へ本社移転する、と発表(※4)。
こうした企業移転は、「働く場所を固定せず、コストや規制、税制を考慮した最適地を選ぶ」動きの象徴といえます。
「リモートワークが州境を越える」新しい働き方の象徴
リモートワーク化により、従業員は会社の所在地や通勤可能な範囲に縛られない働き方を選ぶことが可能になりました。これはつまり、「州境を越えて暮らし、働く」ことが現実のものとなったことを示しています。
たとえば、カリフォルニア州にある企業で勤務しつつ、ネバダ州に住むというパターンも少なくありません。
このような働き方は、従来の「オフィス通勤+居住地固定」モデルを根本から変えるものであり、企業・人材・地域にとって新たな選択肢を創出しています。
雇用者・従業員の視点:生活コスト・住宅事情・ワークライフバランス
企業側からは、オフィス維持費削減・人材採用範囲拡大・離職率低減などのメリットが見込まれ、従業員側からは「住む場所」「通勤時間」「生活コスト」の改善というメリットがあります。
具体的には、住宅価格が高騰する都市部を離れて比較的手の届く価格の地域へ移住し、通勤負担がない形で暮らしを再構築する人が増えています。また、働く時間と暮らす時間の境界があいまいになったことで、ワークライフバランスを重視する動きも強まっています。
※1 出典:Hoover Institution Economics Working Papers
※2 出典:Public Policy Institute of California
※3 出典:Fox Business
※4 出典:Rueters
3.ネバダが注目される理由(税制・住環境・コスト)
出典及び画像引用元:Reading Comprehension Worksheet | Printable Worksheet
税制の優位性:州所得税ゼロ、ビジネス規制が緩やか
まず、ネバダ州の大きな魅力の一つは、州所得税がないという点です。ネバダ州財務省も「個人の給与・賃金・類似報酬に対して州所得税を課さない」ことを明確にしています(※5)。
このため、高額所得者・遠隔勤務者・企業拠点を検討する法人にとって「税負担軽減」の観点から魅力的な選択肢となります。さらに、法人税・フランチャイズ税・株式税などもないため、ビジネス環境としても柔軟性が高いとの評価があります(※6)。
生活コスト:住宅・地価・光熱費が比較的安価
カリフォルニア州の都市部と比べると、ネバダ州の住宅価格、賃貸コスト、地価・光熱費は相対的に抑えられています。
例えば、ノーザン・ネバダ(リノ周辺)では「一年を通して過ごしやすい気候」「自然環境」「都市機能もそこそこ持つ生活圏」というバランスが評価されています(※7)。
また、カリフォルニア州からネバダ州への移住者数が増えており、2023年には州として約4万2,000人のカリフォルニア州からの転入者を記録。うち約24%が“リモートワーカー”というデータが出ており、カリフォルニアでの高賃金を維持しながら、ネバダで生活費を抑えて暮らす、といった生活が可能になりました(※8)。
ちなみに、筆者が住んでいるリノ市の住宅コミュニティでは、近所がほぼ最近移住してきたカリフォルニア出身の人という状況です。
地理的利点:カリフォルニア主要都市へのアクセス良好
ネバダ州(特にリノ、ラスベガス)は、カリフォルニア州の主要都市(サンフランシスコ、ロサンゼルス)から比較的アクセスが良好です。たとえば、リノからサンフランシスコまでは車・飛行機で数時間ということもあり、ビジネスや打ち合わせでカリフォルニア側とやり取りしやすい環境があります。
ライフスタイルの魅力:自然・レジャー環境と都市機能の両立(特にリノ周辺)
ネバダ州の魅力は「税制・生活コスト」だけにとどまりません。特にノーザン・ネバダ地域では、シエラネバダ山脈・アウトドア環境が身近でありながら、都市機能(空港、インターネット環境、住宅供給)も整備が進んでいます。
ちなみに、世界で16番目に大きく、有名なスキーリゾートが佇むタホ湖は、地理的にもカリフォルニアとネバダをまたいでいるため、ネバダの住民にとってはかなりの好アクセスの位置にあります。こうした従来の働き方ではなく、プライベートの質をあげたQuality of Lifeのライフスタイルは、リモートワーカーにとって強力な選択肢となっています(※9)。
成長分野:テック・再エネ・物流産業の拡大
さらに、ネバダ州はテクノロジー、再生可能エネルギー、物流・インダストリアル拠点など成長分野も注目されています。
たとえば、ノーザン・ネバダの産業団地には大手メーカー・データセンター企業などが進出しており、AI分野などの最新テックを含む業界でも、遠隔勤務者を採用する企業も増えてきています。これにより、“働く人材を呼び込む+企業拠点を呼び込む”というダブルの追い風が吹いています(※10)。
※5 出典:State of Nevada Department of Taxation
※6 出典:Commons Capital
※7 出典:Exp Realty
※8 出典:Las Vegas Review-Journal
※9 出典:Sarah is Selling
※10 出典:NuCamp
4.Reno/Las Vegas の交通状況から見る働き方の変化
4-1. リノ市
リノは、ノーザン・ネバダの中心都市であり、シエラネバダ山脈や湖など自然環境に近く、こじんまりとしてはいますが都市機能を備えた地域です。交通・通勤という観点からも、従来の「都市中心+通勤ラッシュ」という構造から、“居住中心+通勤不要”という働き方へと移りつつあります。
通勤時間の平均や交通渋滞の度合いが、サンフランシスコ・ベイエリアやロサンゼルス圏と比べて低く、在宅勤務・リモート勤務を前提とした暮らしがしやすい
●バス路・線・公共交通もあるが、車社会が前提となってきたため、通勤自体を前提としない住まい・働き方が受容されつつある
●また、リノ空港など拠点とのアクセスが良く、カリフォルニア側との出張・打合せなどにも比較的好立地
こうした交通・地理的な特徴が「出勤しない前提の働き方」を支える土壌となっているのです。
4-2. ラスベガス
ラスベガスは長らく観光・エンターテインメント都市として知られてきましたが、その中でリモートワーク・テック分野への転換も始まっています。交通・通勤の観点からは次のような変化が見られます(※11)。
●これまでは観光・宿泊・サービス業中心であったが、テック・物流・データセンター進出により“オフィス不要/場所を問わない働き方”を受け入れられる環境が整いつつある
●公共交通・バス・空港アクセスの整備が進んでいるものの、依然として車社会の構造が強いため「通勤する」必要のない働き方が、生きやすい地域構造になってきている
●さらに、企業サイドでは「オフィススペースを縮小/従業員はリモート勤務可」という構造を受け入れ始めており、交通政策・都市設計も「通勤中心」から「居住中心・働く場所自由」へと変化していると言えます。
4-3. 働き方の変化と交通・都市設計のリンク
このように、リノ、ラスベガス両都市において、交通・通勤という構図の変化が「リモートワーク時代の地域選択」「住居・働く場の再定義」という文脈で重要なファクターになっています。つまり、
●毎日の “往復通勤” が前提だった都市構造 → “出勤しない/少ない通勤” が前提となる構造へ
●公共交通・通勤ラッシュという制約のある都市 → 自宅・近隣環境で働ける郊外・地方的生活圏
といったシフトが進行中です。この観点から、ネバダ州のリノ/ラスベガスは、”働く場所を選べる“という観点で、魅力的な立ち位置にあります。
※11 出典:NuCamp
5. リノに拠点を持つ主要企業のリモートワーク事例
Tesla(ギガファクトリーを中心にハイブリッド勤務体制)
ネバダ州では、テスラが所有する「ギガファクトリー」が2014年に立地を決めたことで、州内の産業・ビジネス構造に大きなインパクトを与えました。
さらに2023年には大規模拡張計画を発表しており、この拡張によって最大で6,650の雇用(そのうち直接雇用は3,000)が創出され、さらにサプライヤー企業や関連産業を通じて、20年間で38 億ドル(おおよそ5兆8,800億円)規模の経済効果が見込まれています(※11)。
このような大手製造業が拠点を構えることで、周辺には物流・インフラ・ハイテク関連企業が集積し、遠隔勤務・ハイブリッド勤務を取り入れた働き方も広がってきています。
Panasonic(製造+リモート支援部門併存)
パナソニックもテスラ同様、ギガファクトリー関連で関与しており、ネバダ州における製造・研究・開発の拠点を強化しています。
こうした物理的拠点があることで、「地域に居ながらも、全国/グローバルに仕事をする」働き方が可能となる環境が整います。
また、こうした拠点を持つ企業がリモート勤務制度を採用することで、地域内の雇用・リモート雇用の受け皿が増えてきています。
Microsoft(拠点は小規模ながら州内でリモート採用を拡大)
大手テック企業として、マイクロソフトもネバダ州内での採用・リモート勤務対応を強化していました。地域のテック人材・リモート勤務者を視野に入れた採用戦略が、リノ市で機能し始めています。
ただ、2025年9月以降の全社方針変更によって、本拠地があるワシントン州レッドモンドを皮切りに、「週最低3日出社」の適用開始が段階的に予定されているようですので、今後はハイブリッド式となり、リモート勤務の自由度は今後少し制限される可能性もあります(※12)。
地元企業・スタートアップ:在宅・フレックス導入が進む
リノでは、テックスタートアップやサービス業などにおいて、在宅勤務・フレックスタイム・ハイブリッド勤務を採用する企業が増えています。
地域規模で「働く場所・時間を柔軟にする」という文化が根付きつつあります。また、コワーキングスペースやリモートワーク特化型オフィスも需要が高まっており、企業・個人が「拠点を固定せず働く」ためのインフラ整備が進んでいます(※13)。
企業側の狙い:コスト削減、人材確保、社員の定着率向上
企業がリモート化・地域分散を進める背景には、以下のような目的があります。
●オフィス賃料・維持費削減
●通勤負担の軽減による社員満足度向上
●地理的な制限を外した人材採用範囲の拡大
●社員定着率の向上(住宅・生活コストが低い地域を選べる、など)
こうした目的が、ネバダ州のような“働く場所の自由度が高い地域”への企業誘致・採用強化を後押ししています。
コワーキングスペースやリモート特化オフィスの需要増
加えて、リモートワーカー、企業拠点のサテライト化を支えるインフラとして、リノ市内・ラスベガス近郊には、バーチャルオフィス、会議室レンタル、ハイブリッド勤務用オフィスが増加しています。一例として、リノに仮想オフィスを持つという選択肢が、コストを抑えつつビジネス基盤を置く手段として紹介されています(※14)。
※11 出典:Economic Impact of Tesla Electric Semi Truck & Battery Manufacturing Expansion in Storey County, Nevada
※12 出典:GeekWire
※13 出典:Pacific Workplace
※14 出典:Pacific Workplace

6. リモートワーカー増加が地域経済に与える影響
住宅市場:移住者増による家賃・地価上昇傾向
リモートワーカーや企業の移住・拠点分散に伴い、ネバダ州の住宅市場に変化が出ています。リノ市においては過去数年で家賃・住宅価格が上昇しています。例えば、ワンベッドルームアパートの賃料が2017年から2022年で約91 %上昇したというデータがあります(※15)。
このことは、移住者が増えることで、住みやすい地域としての需要が高まっているという裏返しですが、一方で既存住民・低所得層にとっては住居コストの負担増という課題にもつながっています。
地元ビジネス:飲食・教育・保育など生活産業が活性化
移住者が増えた変化によって、飲食店、カフェ、保育・教育サービスなど生活密着型の産業が活性化しています。リモートワーカーは、従来の通勤者とは異なる消費行動をもたらします。
例えば、コワーキングスペース利用、ランチ外食、地元ショッピング、住宅設備利用など、地域経済の裾野が広がる可能性があります。
雇用構造:ホワイトカラー・デジタル職の増加
リモートワークにより、ホワイトカラー・デジタル系の職種が地域に分散する動きが強まりつつあります。地方や郊外とされていた地域でも、リモート勤務を前提にした職種が増えることで、地域の雇用構造が変わってきています。
例えば、ノーザン・ネバダではテック産業の成長・求人増加が報じられています(※16)。これによって、地域における就業機会の所得水準の上昇が期待され、ひいては人口流入・税収増加・地域活性化の好循環が生まれやすくなります。
税収・経済効果:地方自治体の新たな収入源に
移住者や企業の進出の定住化によって、地方自治体にとっても新たな経済基盤が生まれます。住宅取得・消費活動・地元ビジネスの活性化による税収増、そしてテック・物流などの成長産業の誘致による雇用・賃金上昇などが期待されます。
ネバダ州の場合、州所得税がない代替として消費税・物品税・賭博関連税などが収入源となっていますが、人口・企業基盤が増えることで安定的な税収拡大が見込まれています。
自治体の課題:通信・教育・医療インフラの整備
ただし、リモートワーカー増加・地域の定住化が進む中で、自治体・地域が直面する課題もあります。具体的には以下のような項目が考えられます。
●高速通信回線やブロードバンド整備(リモート勤務の基盤)
●教育・保育インフラの拡充(子育て世代の移住に対応)
●医療・福祉・交通インフラの強化(居住の質を保つため)
●住宅供給・手ごろな住まいの確保(価格上昇の抑制)
●社会的な受け入れ態勢・コミュニティ形成(移住者と既存住民の共存)
このような課題をクリアしながら、地域が“選ばれる場所”として次のステージに移行することが鍵となります。
特に、筆者が実際に体験してきた事例では、リノ市にカリフォルニアからの子育て世代の移住者が急増したため、保育園の需要に供給が追い付かず、入園まで何年待ちということも目の当たりにしてきました。
また、近年政治に大きな変革があった今だからこそ、一般的にリベラル寄りがメジャーなカリフォルニア移住者と保守派が多いネバダ住民の共存、という視点も今後重要ではないかと感じています。
「地方が選ばれる時代」に
上記から、リモートワークの普及は、地方や郊外が「通勤不要の拠点」「暮らしと働く場所の融合地」として選ばれる時代を生み出しています。そしてリノやラスベガスは、その最前線にある地域と言えるでしょう。それぞれの利点を享受しながら、新しい働き方・暮らし方を構築しつつあります。
※15 出典:Reno discusses critical need for affordable housing - The Nevada Independent
※16 出典:Nucamp
7. まとめ(今後の展望・課題)
本稿では、リモートワーク時代における企業・働き方を考察し、特にカリフォルニアからの脱州と、ネバダが注目される理由、そしてリノ、ラスベガスにおける交通・働き方・地域経済という観点から整理しました。
今後の展望
●リモートワーク/ハイブリッド勤務が標準化しつつあることで、場所・通勤・居住の制約が軽減され、企業・人材は「どこで働くか」「どこに住むか」を再検討できるようになっています。
●ネバダ州のような“税制・コスト・暮らし・アクセス”のバランスに優れた地域は、企業拠点移転・人材移住先として引き続き選ばれる可能性が高いです。
●地域側としても、リモートワーカー・企業の新たな基盤誘致によって、住居市場・ビジネス機会・雇用構造が変化し、地方経済の新しい展開が期待されます。
課題・留意点
●住宅価格の上昇、既存住民との摩擦、インフラ整備の遅れなど、増加する移住・遠隔勤務者を支えるための地域対応が必要です。
●地域としては、単に「住まい場所が安い」「税制が有利」というだけで選ばれるのではなく、「働きやすく、暮らしやすい」インフラ・コミュニティ・文化を備えた場所であるかどうかが重要です。
日本企業/日本人リモートワーカーへの示唆
日本でも、テレワーク、副業、地方移住などが話題になっていますが、米国で起きているような「州をまたいだ働き方」や「企業や人材が再配置される構図」は、日本においても参考になる潮流です。
たとえば、国内で地方に拠点を置きながら都市部の企業にリモート勤務し、税制・生活コスト・住環境を再考するという動きは今後さらに広がると思われます。
さらに、英語・グローバルな働き方を志向する人材、また企業としては勤務地を問わず優秀な人材を採用する戦略を持つことで、今後の競争力を高めることが可能となってくるでしょう。
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