2020年11月20日
テレワークうつから部下を守るためには?
記事の調査概要
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国20歳〜65歳のテレワーク/リモートワークを経験したことがあるワーキングパーソン男女1077名
調査期間:2020年9月1日〜9月4日
2020年春の新型コロナウィルス流行に端を発する緊急事態宣言などをきっかけに、テレワークが推奨されました。結果、テレワークという新しい働き方は世間に広く受け入れられ、緊急事態宣言が解除された今でもテレワークを継続している方も多くいらっしゃいます。
一方で、テレワークが原因でメンタルにダメージを負う「テレワークうつ」という新たな社会問題が顕在化しつつある、という話があります。もし、あなたの部下がテレワークに切り替えたことで、うつになってしまったら……そう考えるとテレワークそのものにリスクを感じてしまうかもしれません。ですが、昨今の環境下においてテレワークはメリットが多いことも証明されてきているため、リスクを回避しながら有効活用したいものです。
「テレワークうつ」の原因になりうる、テレワーク中のストレスの発生源はいったいどこにあるのでしょうか?
ストレスを感じているのは約4割
その原因は……?
まず今回の調査では、テレワークをしている方と、していた方を対象に「テレワークになってストレスを感じていますか」という質問に答えていただきました。
「どちらかというとストレスを感じていない」「ストレスを感じたことがない」という回答が、あわせて61.47%という結果になりました。この数字だけでも、本来であればテレワークという環境がストレスを感じにくい仕事環境であるといえるでしょう。一方、残りの約4割の方は、「何かしらのストレスを抱えている」ことがわかりました。
こちらのデータを男女別に分けると、
上記のような結果になりました。
では、ストレスの原因となっているのはどういった事柄なのでしょうか。前述のアンケートで「ストレスを感じている」と回答された方に、「ストレスの理由は何ですか」という質問をぶつけてみました。
仕事とプライベートの区別ができない 男性 53.02% / 女性 54.64%
男女ともに最も多かったのはこの回答でした。ともに50%を上回っていることから、仕事の始まりや終わりのタイミング計りづらいというのは相当なストレスになると推測できます。
また、自宅での作業となれば家事や子育てといったプライベート要素が否応がなしに仕事の時間へ介入してくることも。そういった場合「早く仕事をしなければいけないのに」といった焦りが、よりストレスを積み重ねる原因になってしまうのではないでしょうか。
上司、同僚とのコミュニケーションが取りにくい、減った 男性 39.66% / 女性 37.70%
続いて多かったのはコミュニケーションの問題。テレワークになると、電話やメール、「Skype」や「Zoom」などのテレビ会議などがコミュニケーション手段の主流になります。すると、対面時と比較し、見解の相違や、こちらの意図が伝わらなかったり、最悪の場合は怒りに直結する誤解を招いてしまい、結果的に双方不要なストレスを感じてしまう……といったことが起きやすくなります。
ほかにも「長時間労働になっている」「仕事の評価がどうされているのか不安」「情報セキュリティの漏洩が心配」など、ストレスの原因は多岐にわたっているようです。
オンオフはしっかり切り替えつつ
遠くにいるからこそ部下を見守って
今回、多くの人がストレスの原因と感じていたのは「仕事とプライベートの区別ができない」、「上司、同僚とのコミュニケーションが取りづらい、減った」という内容でした。それらの点を踏まえて、部下を「テレワークうつ」から守る方法とは「適度な距離感を保ちつつ、しっかりと見守る」ということではないでしょうか。
そのためには、上司のほうから「今日の仕事は○○まで」と、”どこからどこまで仕事をするか” 明確にしたうえで進捗管理を意識し、それ以外の時間についてはメールや「LINE」などの不要な連絡を控えるといった配慮が大事かもしれません。
コミュニケーションについても、メールやメッセージの文面が高圧的になりすぎていないか、誤解を招くような文章になっていないかを見直す、というひと手間をかけるだけで余計な誤解を招く心配がグッと少なくなります。また、いくらコミュニケーションが大事だからといって、求められていないのにプライベートにまで介入するのは避けましょう。ただし、何か相談事を持ちかけられたら親身になって相談に乗ってあげるべきかもしれません。
他にも「テレワークうつ」の原因は様々で、ストレスだけが原因になっているわけではありません。ですが、上記のように少し気を遣ってみることで部下のストレスが軽減されば、「テレワークうつ」の予防につながるだけでなく、信頼関係を高めるきっかけにもなるでしょう。
これを見て「なんで部下にそんなことを……」と思ってしまうあなたは……もしかしたら、あなた自身が部下のストレスになってしまう可能性も? そんな事態を避けるためにも、些細なことでもいいので「気遣っているよ」という気持ちを表現してみてはいかがでしょうか。その気配りで、部下のみなさんもこれまで以上に期待に応えてくれるようになる……かもしれません。
部下を守るためにも“ソーシャルディスタンス”を保ちつつ、しっかり見守ってケアをする。それはテレワークだけに限らず、上司という立場に求められるスキルなのではないでしょうか。
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