
2025年9月12日
リモートワークで上司と部下の関係はどのように変化した!?
記事の調査概要
調査方法:インターネット調査
調査対象:20歳〜65歳のテレワーク/リモートワークを経験したことがあるワーキングパーソン男女1005名
調査期間:2025年5月23日〜5月28日
コロナ禍を経て、働き方はどう変わったのか
コロナ禍によって急速に普及したリモートワークは、社会に大きな影響を与えました。
一時期は「新しい働き方のスタンダード」とも言われましたが、ここ数年で「出社回帰」の動きも目立っています。
大手企業では「コミュニケーション不足」や「マネジメントの難しさ」といった課題を理由に、フル出社に切り替えるニュースが増えてきました。
しかし一方で、若い世代を中心に「リモートワークを続けたい」「ハイブリッドで働きたい」という声も根強くあります。
働き方に対する考え方は、世代によって異なる傾向があるようです。
では実際に、リモートワークは上司と部下の関係にどのような変化をもたらしたのでしょうか。今回の調査では、その実態を明らかにしました。
上司・部下関係の変化TOP10
調査では、リモートワークによって上司や部下との関係がどのように変化したかを尋ねました。結果の上位10項目は以下の通りです。

1位は「自分の仕事に集中できるようになった」でした。
さらに「適度な距離でコミュニケーションが取れている」「物理的な距離ができたことで関係が良くなった」といった回答も上位に入りました。
これは、リモート環境により「余計な干渉が減り、仕事に集中できる」と感じる人が一定数存在することを示しています。
世代による違い ― 若者は「集中」、大人は「雑談」
20歳代男女 | 50歳代男女 | |
---|---|---|
雑談をする機会が減った | 11.4% | 20.1% |
雑談をしなくてもよくなった | 16.8% | 11.5% |
報連相を密にするようになった | 9.8% | 5.7% |
雑談を意識して増やすようになった | 8.7% | 3.8% |
※N数 20歳代=184 50歳代=209
しかし、この変化の受け止め方には世代間で差がありました。
例えば、2位の「雑談をする機会が減った」では、20歳代は11.4%に対し、50歳代は20.1%と約2倍の開きがありました。
上の世代ほど「雑談の減少」を強く課題と感じていることが分かります。
一方、4位の「雑談をしなくてもよくなった」では、20歳代が16.8%と最も高い割合でした。雑談を重視する上司世代に対し、若い世代の部下は「なくても問題ない」と感じる人が多い傾向が読み取れます。
1位 | 自分の仕事に集中できるようになった | 21.7% |
---|---|---|
2位 | 視線を気にしなくなった | 21.2% |
3位 | 適度な距離でコミュニケーションが取れている | 17.1% |
※N数 30歳代=217
また、30歳代では「自分の仕事に集中できるようになった」(21.7%)、「視線を気にしなくなった」(21.2%)、「適度な距離でコミュニケーションが取れている」(17.1%)が上位に並びました。
働き盛りの世代にとっては、リモートワークが集中力や効率性の向上につながっている実感があるようです。
性別による違い ― 女性にとっての安心感
男性 | 女性 | |
---|---|---|
雑談をしなくてもよくなった | 9.9% | 14.2% |
視線を気にしなくなった | 14.7% | 16.9% |
※N数 男性=525 女性=480
性別でも興味深い違いが見られました。
「雑談をしなくてもよくなった」は男性9.9%に対し女性14.2%。「視線を気にしなくなった」も男性14.7%に対し女性16.9%でした。
つまり女性には、リモートワークによって「雑談や視線から解放された」という意識が男性よりも多く見られるということです。
これを上司と部下という関係で見てみると、管理職に依然として男性が多い現状において、たとえば男性上司が「雑談は良い関係づくり」と考えていても、部下が女性の場合には、異なる受け止め方をされることもある――。男性上司はそのような意識を持っておくのも大事なことなのかもしれません。
リモート課題への自発的な対応 ― 若者の工夫
今回の調査をまとめると、
- • 50歳代以上:雑談や対面コミュニケーションを重視し、リモートワークの課題を強く意識
- • 20〜30歳代:集中できる、効率が上がるなどのメリットを評価し、課題には工夫で対応
という構図が浮かび上がりました。
リモートワークは、単なる「働く場所の違い」以上に、世代や立場によって意味づけが大きく異なる働き方だといえるでしょう。
まとめ ― これからの働き方に向けて
リモートワークの広がりと出社回帰の動きは、社会全体で揺れ動いています。
今回の調査からは「上司と部下の関係」における変化が、世代や性別によって大きく異なることが明らかになりました。
50歳代は「雑談が減ったこと」を課題と感じやすく、20〜30歳代は「集中できる」というメリットを重視しています。
つまり、リモートワークをどう評価するかは一様ではなく、多様な価値観が共存しています。
今後、企業が働き方を設計する際には、単に「リモートか出社か」という二択ではなく、世代・性別・職務に応じた柔軟な選択肢を用意することが求められるでしょう。
リモートワークは単なる一過性の働き方ではなく、「働く人の価値観」を映し出す鏡でもあります。その違いを理解し合うことこそが、これからの上司・部下関係をより良いものにしていく鍵となりそうです。
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