テレワーク・リモートワーク総合研究所

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記事の調査概要

調査方法:インターネット調査

調査対象:20歳〜65歳のテレワーク/リモートワークを経験したことがある管理職ワーキングパーソン男女489名

調査期間:2025年5月23日〜5月28日

リモートワークのマネジメントにはどんな工夫が必要?

「A社が週〇日の出社を義務化」「B社、出社義務を週〇日へ拡大」など、出社回帰のニュースをよく耳にするようになりました。
企業が出社回帰を推進する理由のひとつとして、「マネジメントの難しさ」が挙げられています。

直接対面しないチームを率い、成果・進捗の可視化や信頼の形成、健康配慮まで求められるリモートワークのマネジメントは、出社してのマネジメントとは異なる課題を抱えていると言えます。

それでは、リモートワークでチームを率いる管理職は、チームを機能させ、成果を出すために一体どんな試行錯誤をしているのでしょうか。

オフィス勤務に依存しない多様な働き方を確立するためのヒントにすべく、今回テレリモ総研は、現職の管理職を対象に「リモートワークのマネジメントにおいて工夫していること」に関する調査を実施しました。

リモートワークのマネジメントで重要なのは「丁寧さ」

「リモートワークのマネジメントにおいて工夫していることはありますか」とお尋ねしたところ、以下のような結果となりました。

全体ランキング
指示の出し方を具体的にするようになった 13.5%
進捗状況の確認をこまめに行うようになった 12.9%
1on1を積極的に行うようになった 11.2%
仕事の割り振りの仕方を変えた 10.4%
部下のモチベーション・体調管理を意識して行うようになった 10.4%
チャットや会議等で冷たい印象にならないような工夫をするようになった 10.0%
意識的に雑談をするようになった 5.3%
話したいことを資料にまとめるようになった 4.7%
対面で会う機会を作るようにした 3.5%
特に変化はない 18.0%
n数=489

リモートワーク環境では働いている様子が見えないため、オフィス勤務に比べて、指示が誤って伝わっていることに気づいたり、進捗している・していないを把握したりすることが難しくなります。

そこで、出社時よりも具体的に指示を出したり、業務がどこまで進んでいるかをこまめに確認することで、確実に成果を出せるよう意識しているようです。

また、1on1の実施やモチベーション・体調の管理、対面で会う機会を作るといった回答からは、「部下との関係性を強化する」思考が見て取れます。

いずれにしても、より「丁寧なコミュニケーション」が、リモートワーク環境でのマネジメントにおいて着目すべきポイントと言えそうです。

次に、年代別の結果を見てみましょう。

20代
進捗状況の確認をこまめに行うようになった 17.0%
部下のモチベーション・体調管理を意識して行うようになった 12.5%
指示の出し方を具体的にするようになった 11.6%
チャットや会議等で冷たい印象にならないような工夫をするようになった 11.6%
話したいことを資料にまとめるようになった 10.7%
仕事の割り振りの仕方を変えた 8.9%
1on1を積極的に行うようになった 8.9%
意識的に雑談をするようになった 6.3%
対面で会う機会を作るようにした 1.8%
特に変化はない 10.7%
n数=112
30代
1on1を積極的に行うようになった 14.5%
進捗状況の確認をこまめに行うようになった 12.9%
指示の出し方を具体的にするようになった 12.9%
仕事の割り振りの仕方を変えた 12.1%
部下のモチベーション・体調管理を意識して行うようになった 11.3%
チャットや会議等で冷たい印象にならないような工夫をするようになった 11.3%
意識的に雑談をするようになった 6.5%
話したいことを資料にまとめるようになった 2.4%
対面で会う機会を作るようにした 2.4%
特に変化はない 13.7%
n数=124
40代
指示の出し方を具体的にするようになった 21.1%
進捗状況の確認をこまめに行うようになった 12.2%
チャットや会議等で冷たい印象にならないような工夫をするようになった 11.1%
仕事の割り振りの仕方を変えた 7.8%
1on1を積極的に行うようになった 7.8%
意識的に雑談をするようになった 7.8%
部下のモチベーション・体調管理を意識して行うようになった 5.6%
対面で会う機会を作るようにした 4.4%
話したいことを資料にまとめるようになった 3.3%
特に変化はない 18.9%
n数=90
50代
1on1を積極的に行うようになった 18.9%
部下のモチベーション・体調管理を意識して行うようになった 13.3%
指示の出し方を具体的にするようになった 13.3%
進捗状況の確認をこまめに行うようになった 11.1%
チャットや会議等で冷たい印象にならないような工夫をするようになった 8.9%
対面で会う機会を作るようにした 5.6%
仕事の割り振りの仕方を変えた 4.4%
意識的に雑談をするようになった 4.4%
話したいことを資料にまとめるようになった 2.2%
特に変化はない 17.8%
n数=90
60代
仕事の割り振りの仕方を変えた 20.5%
進捗状況の確認をこまめに行うようになった 9.6%
部下のモチベーション・体調管理を意識して行うようになった 8.2%
指示の出し方を具体的にするようになった 8.2%
チャットや会議等で冷たい印象にならないような工夫をするようになった 5.5%
1on1を積極的に行うようになった 4.1%
話したいことを資料にまとめるようになった 4.1%
対面で会う機会を作るようにした 4.1%
意識的に雑談をするようになった 0.0%
特に変化はない 35.6%
n数=73

20代の管理職は「話したいことを資料にまとめる」が10.7%と高く、50代の2.2%に比べて約5倍の開きがあります。

20代は、タスクの明確化や記録性の確保といった、合理的マネジメントへの意識が高いと言えそうです。

一方で50代の管理職には、他のどの世代とも違う傾向が見られます。

「資料にまとめる」と答えた人が他の年代に比べても少ない反面、「1on1を積極的に行う」は他項目よりも際立って高く、会話する機会を意識的に設ける傾向が見られました。

50代では、「部下のモチベーション・体調管理」(13.3%)が高いことからも、非言語情報や微妙な変化も捉えながら、口頭でのコミュニケーションを通じてチームの安定を図るという、関係性重視のマネジメントスタイルが反映されていると言えるでしょう。

続いて、男女別の結果を見ていきましょう。

女性は心理的側面を大切にする?男女で違う工夫のしかた

男女別のランキングを比較してみた結果は以下の通り。

男性TOP5
1位 指示の出し方を具体的にするようになった 13.0%
2位 進捗状況の確認をこまめに行うようになった 12.3%
3位 1on1を積極的に行うようになった 11.7%
4位 部下のモチベーション・体調管理を意識して行うようになった 11.4%
5位 仕事の割り振りの仕方を変えた 10.4%
n数=308
女性TOP5
1位 チャットや会議等で冷たい印象にならないような工夫をするようになった 15.5%
2位 指示の出し方を具体的にするようになった 14.4%
3位 進捗状況の確認をこまめに行うようになった 13.8%
4位 仕事の割り振りの仕方を変えた 10.5%
5位 1on1を積極的に行うようになった 10.5%
n数=181

男性の場合、上位は全体の傾向とほぼ一致しています。具体的な指示やこまめな進捗確認、1on1の実施などを中心に工夫をしているようです。

一方、女性の場合、1位に「チャットや会議等で冷たい印象にならないような工夫をするようになった」が入りました。

さらに、ランク外ではありますが、男女差が顕著に出たのは「対面機会の確保」と「資料の作成」です。

【男女別】「対面機会の確保」と「資料の作成」
男性(n=308) 女性(n=181)
対面で会う機会を作るようにした 4.9% 1.1%
資料を作るようになった 6.2% 2.2%
n数=181

「対面で会う機会を作るようにした」は男性4.9%に対して女性は1.1%と5倍近い開きがあります。
また「資料を作るようになった」は男性6.2%に対し、女性は2.2%という結果でした。

男性が、業務遂行の確実性を高めることに重点を置き多面的に工夫しているのに対し、女性は手段を絞り込みつつ、人間関係や心理的側面(感情面の質)のケアを大事にしている傾向が見られます。

「チームに合った工夫」を

このように見てみると、リモートワークのマネジメントにおける「丁寧さ」の肝とは、「相手と目的に合わせたコミュニケーション手段の使い分け」と言えそうです。

若手には資料で具体的に指示する、中堅・ベテランには1on1で心理的にケアするなど、部下の特性に合わせて工夫を組み合わせ、チームに合った「丁寧さのかたち」を探すことで、リモート時代のマネジメント手法は洗練されていくのかもしれません。

ランキングに表れた工夫は、そのまま使えるヒントでもあります。
ご自身のチームの特性や世代・性別を踏まえ、参考にしていただければ幸いです。

影山綾子

影山綾子

\記事のエビデンスとしてイラストやグラフを転載OK/
・ライター、メディア、新聞社の強い味方
・在宅勤務に関する情報発信メディア:テレワークリモートワーク総合研究所
・年4回の市場調査
・ご要望に合わせて設問の用意可能
・運営:株式会社LASSIC(ラシック)
・イラスト:ねじまきデザイン製作所

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