2026年2月10日
「義理チョコ消滅」は本当か?——20代は約7割継続
記事の調査概要
調査方法:インターネット調査
調査対象:20歳〜65歳のテレワーク/リモートワークを経験したことがあるワーキングパーソン男女1,009名
調査期間:2025年11月27日~11月28日
リモートワークが普及すれば職場の義理チョコは消える――。コロナ禍以降、そう予測する声も少なくなかった。だが、職場でバレンタインギフトを渡す習慣のあった405人(=当事者層)に絞って分析すると、20代の67.3%——7割近くが職場バレンタインを継続し、21.2%が「以前より増えた」と回答。世代間で大きく異なる実態が浮かび上がった。
「義理チョコ消滅」は本当か?
コロナ禍を経て、働き方は大きく変わった。毎日の出社に代わり、リモートワークを取り入れる働き方が広がった。この変化は、職場の人間関係にも影響を及ぼしている。この時期話題になる「職場バレンタイン」も、例外ではない。
「出社しなくなったのだから、義理チョコを渡す機会も減る」。そう考えるのは自然だろう。実際、リモートワーク普及後に職場バレンタインが衰退したという報道もある。だが、こうした「消滅論」は本当に実態を反映しているのだろうか。
テレリモ総研が2025年11月に実施した調査では、リモートワーク経験者1,009人に職場バレンタインの変化を尋ねた。全体を見ると「以前から職場で渡す習慣はない」が59.9%を占めた。そこで本稿では、「以前から職場で渡す習慣はない」と回答した604人を除外し、職場バレンタインの当事者層405人に絞って分析を行った。すると、「消滅論」とは異なる実態が浮かび上がってきた。職場バレンタインの習慣があった人たちは、どのように変化したのだろうか?
当事者層の半数近くが継続
当事者層405人の回答を見ると、「以前より増えた」が11.9%、「以前と変わらない数を渡している」が34.6%となった。両者を合わせた「継続・増加層」は46.4%——半数近くに達する。一方、「渡す数が減った」は22.0%、「全く渡さなくなった」は31.6%で、「減少・停止層」は53.6%である。
確かに過半数が減少・停止に転じており、職場バレンタインが縮小傾向にあることは事実だ。しかし、半数近くが継続または増加しているという点は見逃せない。リモートワークが普及した今も、職場バレンタインを維持・拡大している層が一定数存在するのである。
では、継続している人と停止した人の違いはどこにあるのか。年代別のクロス集計を行うと、明確なパターンが見えてくる。
20代は7割、60代は2割以下
【図1】
年代別・職場バレンタイン継続率
当事者層における「継続・増加」の割合(n=405)
出典:テレリモ総研「職場バレンタインに関する調査」(2025年)当事者層 n=405
年代別に継続・増加率を見ると、20代が67.3%で最も高い。30代も59.6%と6割近くを維持している。ところが40代になると38.6%に低下し、50代は27.7%、60代は15.8%まで落ち込む。年代が上がるほど継続率が下がる、きれいな階段状の傾向である。
さらに注目すべきは「増えた」と回答した割合である。
【図2】
年代別・「増えた」率の比較
当事者層における「以前より増えた」と回答した割合
出典:テレリモ総研「職場バレンタインに関する調査」(2025年)当事者層 n=405
20代では21.2%、つまり5人に1人以上が「以前よりバレンタインギフトが増えた」と答えている。30代も17.0%と、20代に近い結果となっている。一方、50代は3.6%と、20代の6分の1程度にとどまる。
「増えた」と回答した層が若手世代に集中しているのはなぜなのだろうか。
なぜ若手で「増えた」のか
渡す数が「変わらない」「減った」の理由も見てみよう。最多は「誰が出社しているかわからず、渡しそびれるから」で37.2%だった。次いで「リモートワークを機に、虚礼廃止の空気ができたから」が31.4%、「出社しないため、渡すタイミングがないから」と「会社の方針で禁止・自粛になったから」がともに25.0%となった。
【図3】
職場バレンタイン減少理由
「変わらない」「減った」と回答した当事者への複数回答(n=188)
| 減少理由 | 割合 |
|---|---|
| 1位 誰が出社しているかわからず、渡しそびれる | 37.2% |
| 2位 虚礼廃止の空気ができた | 31.4% |
| 3位 出社しないため、渡すタイミングがない | 25.0% |
| 3位 会社の方針で禁止・自粛になった | 25.0% |
| 5位 経済的な負担を減らしたかった | 21.3% |
出典:テレリモ総研「職場バレンタインに関する調査」(2025年)継続・減少層 n=188
上位を占めるのは、出社頻度の低下やタイミングの問題といった環境的な制約である。「虚礼廃止の空気」も、長年の慣習を見直すきっかけとして作用したと考えられる。一方で、こうした障壁があっても「増えた」と回答した層が若手に多いのはなぜか。
一つの手がかりは、渡し方の多様化にありそうだ。継続層277人に渡し方を尋ねたところ、「出社したタイミングで直接手渡している」が76.5%で最多だった。一方、「郵送・宅配便で送付」が23.5%、「LINEギフト等のeギフトを利用している」も18.4%と、対面以外の手段も一定数活用されている。
【図4】
職場バレンタインの渡し方
継続層への複数回答(n=277)
出典:テレリモ総研「職場バレンタインに関する調査」(2025年)継続層 n=277 ※複数回答
【補足データ】
年代別・ソーシャルギフト利用率
継続層におけるLINEギフト等の利用割合
出典:テレリモ総研「職場バレンタインに関する調査」(2025年)継続層・年代別
ソーシャルギフト利用率を年代別に見ると、30代が24.0%で最も高く、20代の17.8%を上回っている。30代は、手渡ししてきた経験も上の世代と比べて少なく、デジタルにも慣れている。さらに、入社から10年前後が経過し、20代と比べると職場の人間関係も固まってきた頃である。「手渡し」に拘らず、多様な手段を取りやすいのかもしれない。
また、テレリモ総研が2025年8月に実施した別調査(n=1,004)では、フル出社のメリットとして「上司・同僚・部下との信頼関係を築きやすい」が34.6%で1位となっている。出社機会が関係構築の場として意識されていることを踏まえると、限られた出社日にバレンタインギフトを渡すという行動とも整合する。
対面で渡せなくても、デジタル手段で気持ちを届けられる。出社の機会があれば、それを関係構築に活かす。こうした選択肢の広がりと意識が、若手・中堅世代のバレンタイン継続を支えている可能性がある。
「虚礼」か「関係構築」か
今回の調査結果は、職場バレンタインをめぐる世代間の行動差を明らかにした。「増えた」と回答した割合は、20代で21.2%に達する一方、50代では3.6%にとどまり、約6倍の開きがあった。
20代の5人に1人が「増えた」と回答したという事実は、「義理チョコは虚礼」「古い慣習」という見方が一面的である可能性を示している。職場バレンタインには、コミュニケーション手段としての役割がまだ残されているのかもしれない。「形式的な儀礼」としてではなく、「関係構築の選択肢」として捉え直すとき、職場バレンタインは新たな意味を持ちうるのではないだろうか。
リモートワークで接点が減った職場ほど、関係構築は「日常の小さなアクション」に支えられやすくなっていると考えられる。バレンタインも、その一つとして機能している側面があるのだろう。形式としての義理チョコではなく、人間関係を補う軽やかなコミュニケーション手段として選ばれつつある可能性がある。
こうした変化を踏まえたとき、リモートワーク時代の職場コミュニケーションをどう設計していくべきなのか──若手の行動変容には、そのヒントが隠れているのかもしれない。
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