LASSIC Media らしくメディア

2016.10.13 らしくコラム

吉本興業で35年!竹中イサオの“泣く子も笑う”処世術-Vol.4

竹中イサオ

お笑いの総本山、吉本興業のプロデューサー生活13,000日、5,000人の吉本芸人と渡り合った竹中イサオの処世術コラム。

社内外、業界内外からの悩みや疑問、提案に対してボケとツッコミでビシビシ返していきまっせ!

竹中 功(たけなか いさお)

1959年大阪市生まれ、吉本興業で約35年間タレント養成やイベント・映画製作を担当。数々の謝罪会見をこなした「謝罪マスター」でもある。

質問:「『売れる芸人』『売れない芸人』に法則はありますか?」(吉備津のサルさん)

「売れる秘訣はあるんかいな?」こんな質問が来ました!

もう4回目やね、この連載コラム。みなさん続けて読んでいただいているようで感謝感激雨霰(アラレ)ですわ。読み損ねの回などあれば、うちの会社のサイトをあちこち探して見てください。また会えると思いますわ。

ただまぁ、こういうコラムは「生もん」ですんで、古いのを読むと腹を下したりするんで気を付けてください 。

コラムや情報、そして人間には賞味期限がありますんで、よく気を付けて付き合うのがええでしょう。期限切れの話しを他人にすると相手から「アレレ」と言われますし、期限切れの人と付き合ってて、その人のことを誉めたりすると、これまた「アレレ」と思われ、付き合い方を変えられたりします。何を知り、誰を知り、何を発信するかでその本人の価値が見えてまうのです!コワイ!

私自身も期限切れにならへんよう、日々、気張って新しいものをインプットしてます。

ただ私の脳内のCPUの型番は古いし、メインメモリも不足してるので、一旦アレコレと入力はしたものの頓珍漢な事をアウトプットしていることも多いようです。それを考えると明石家さんまさんは巨大な量を毎日毎日インプットされ、同時にアウトプットされてます。さしずめ中東の原油を運ぶパイプラインのように直径が1メートル程のものが繋がっているのやろうなってずっとずっと思って見ています。

毎日テレビを番組を見倒し、自分の出ている番組も見倒していると聞きます。

その点、ボクなんぞは金魚鉢のエアーポンプのチューブぐらいなもんです。毎日「ポコポコポコ」って空気を出してる程度ですわ。

で、今回は、ペンネーム「吉備津のサルさん」からの質問に、ポコポコポコと答えせていただきます。

 「毎回、楽しく読ませていただいてます!質問なのですが、某Y興業でのご経験として「売れる芸人さん VS  売れない芸人さん」を、どうなるやら分からん頃からご覧になってて、何か法則のようなものがあるのでしょうか?「売れ続ける芸人さん VS  一瞬売れるけど売れなくなる芸人さん」にも、法則的なものがあるようであれば教えてください。5,000人の芸人さんで誰が売れるのか?誰が売れないのか?はたまた売れ続けるのか?一発屋で終わるのか?興味津々です。」

ほほほ!「お笑いの法則」にご興味があるとは、なかなかの勉強家ですやん!そんな類いの御本も良く読んでいるのかな?読み終わった本があればボクに寄付してください。「積ん読」になるか、古本屋に売りに行きます。

ほんで、その上にひょっとして「売れる芸人・売れない芸人」の違いを研究して、自分も真似して売れようとか、うまく行きたいなんて思っていませんか?

そこはボクも教えて欲しいところですねん実際。

もしかして、その法則が分かればお笑い芸人の養成所よしもとNSCの教科書にして毎年、高く売り飛ばしちゃえるかもね!

 

でも少し考えてみまひょか?

「売れる芸人さんと売れない芸人さん」、これって買う人がいて決まるんですね。つまり、応援してもらえるとか、贔屓(ひいき)にしてもらえるかもらえないかの差は、当たり前ですがその「答え」はユーザーが持っているのです。ユーザーが決めるのです。ユーザーのニーズが市場を決めるんですな。マーケティングの業界用語で言うと、「マーケット・イン」「ユーザーファースト」とか言いますやん。市場志向で顧客ニーズ主導と言う見方ですな。

「お笑い業界」でも同じことが言えます。

テレビや演芸場、今ならネットを媒体にして「お笑い」は発信されています。「面白い、面白くない」はユーザーの「感性」によって決められます。広く見てもエンタテインメントの世界では誰を応援するか、何を購入するかはユーザーの「感性」次第なのです。

あれっ、エンタメ業界外でもそうやん。人気あるエンジニア、忙しい会社も、正確さや納期は勿論のこと、価格などだけの競争ではなく、「おもてなし」や「気付き」などのサービス面が選ばれる「差」になっています。いくら営業に回っても選んでもらえないというのの真逆ってところですな。

 

とは言いながらも、実は決定権を持つエンドユーザーのニーズを刺激して、その気にさせることもできるのですよ。この話し、聞きたいと思いまへんか?

 

ここは「時代のマーケティング」と言いますわな。

40年ほど前の「マーケティング」言うのは「市場調査」やら、その調査によって「広告を作る」というような行為やったんですが、それが今では「新しい顧客を見つけ、製品の魅力や性能を改善し、既存の顧客を逃がさないようにし、製品の売り上げの結果を検討し、業績を維持するもんやで」と米経営学者フィリップ・コトラーさんが言うてます。会ったことはないけど。

 

分かりやすく言うと、「マーケティング」は、以前の「調査」に基づいて将来の「広告」や「宣伝方法」を考えて作るもんではなくなって、「調査」に基づいて「新商品」や「新サービス」を考えて提供するというふうに変わってきたんですな。

もっとモノを売るための仕組みを作り、お客様に魅力や価値を提供して、ゼニをいただくということですわな。分かりまっか?

 

ただしモノが売れる売れないは、その時その時の消費者の感性次第だから、決まった法則なんてないねん。

これを読まれているあなた自身もそうでしょう。「欲求」や「欲望」なんて気まぐれでしょ!

だから売れるか売れないかなんて、結果でしかないわけよ。

ってことは、売れることを信じて、そうなるように、あらゆる方法を考えて、悩んで、突き進むしかあらへんのよ。

そのために大事なのは、具体的な方法の設定と目標の設定ですやん。前にも言いましたで。

結果はただただ付いてくるだけやから、しっかりと自分で決めた目標を追いかけようや。

 

実際、世の中、「金儲け」は目標やないよ、結果やねん。これが肝やねん。 

 

一回きりの人生、目標を定めて、それを手に入れようや!


View