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2020.03.30 リモートワークコラム

テレワークとリモートワークは一緒?違いとは

 昨今耳にする機会が増えた「テレワーク」。そもそもテレワークの「テレ」はどういう意味なのでしょうか?「リモートワーク」という言葉もよく聞くようになりましたが、違いはあるのでしょうか?果たして自分の会社でも導入できるのか…?

 注目のテレワークについてまとめてみました。

テレワークの「テレ」は、英語で「離れたところ」

 「テレワーク」とは、「tele = 離れたところ」と「work = 働く」をあわせた造語で、情報通信技術(200ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない働き方を表す言葉です。

 働く場所によって「自宅利用型テレワーク(200在宅勤務)」、「モバイルワーク」、「施設利用型テレワーク(200サテライトオフィス勤務など)」の3つに分類されています。

 例えば、「非常災害時における事業継続のために在宅勤務を実施する」、「営業職の人が外出先近くでサテライトオフィス勤務する」などのケースが想定されます。(出展:日本テレワーク協会)

 今回の新型コロナウイルス流行は、まさに非常災害時に該当し、在宅利用型テレワーク(200在宅勤務)が有効となる事例です。

「テレワーク」≒「リモートワーク」?

 「リモートワーク」とは、「在籍する会社のオフィスに出社せず、自宅やサテライトオフィスなど、離れた場所で業務することを指す言葉です。リモート(remote)は英語で「遠い、遠隔の」という意味の単語で、「リモートワーク」と「テレワーク」はほとんど同義です。

 また、「リモート」はIT用語として、物理的に分離されており、通信回線などのネットワークによって接続された状態にあるマシンやシステム、環境などのことを指す言葉として用いられるからか、IT業界では「リモートワーク」の方が浸透しています。(参考:IT用語辞典 BINARY)

「テレワーク」が使用されるケース

 前述のとおり、「会社のオフィスに出社せずに働くこと」をIT業界では「リモートワーク」と表す場合が多い一方、国や大企業、各種メディアは主に「テレワーク」を使用する傾向があります。

 2019年から総務省主導で実施されているテレワーク国民運動プロジェクト「テレワーク・デイズ※」の広告を公共交通機関で見たことがある方もいるのではないでしょうか。

 また、政府と連携し、テレワークの普及に貢献してきた一般社団法人 日本テレワーク教会の会員リストには多くの大企業が名を連ねていることから、国内の大手企業やメディア関係者も「テレワーク」という言葉を使用しています。


※テレワーク・デイズ:
 総務省と関係府省(厚生労働省、経済産業省、国土交通省、内閣官房及び内閣府)、東京都及び関係団体が連携し、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催時の交通混雑緩和を図るため、また、生産性の向上や優秀な人材の確保等にも資する「テレワーク」の普及促進を図るため、2020年までの毎年、東京オリンピックの開会式が予定されている7月24日を「テレワーク・デイ」と位置付け、企業等による全国一斉のテレワーク実施を呼びかけるもの。(出展:総務省 テレワークの推進)


テレワークがもたらす可能性

 昨今、急速に浸透してきている「テレワーク」。そもそも、私たちがテレワークに期待することとはなんでしょうか。

 日本の労働人口は減少の一途を辿り、2025年には、団塊の世代が約2,200万人を超えると予想され、国民の4人に1人が75歳以上という超高齢社会に突入します。労働参加率を上げるためには、女性の就業を増やす必要があるなかで、結婚、出産、子育て等を契機に仕事を離れた女性が再就職するにあたり妨げとなっている要因を解消する施策として期待されているのがテレワークです。テレワークによって通勤時間から解放されることで、育児や家事、家族と過ごす時間を確保しやすくなります。また同様に、超高齢社会による要介護人口の増加に伴い発生しうる、介護による退職の防止にも有効となる可能性を秘めています。

テレワークを導入している企業としていない企業の差は?

 テレワークを導入する企業は、人事評価や労務管理などの制度の変更、リモートアクセス等を可能とするICT利活用環境の整備などが必要になります。これらの取組みは「働き方改革」にも共通するところが多く、働き方改革の一環として社内制度面や情報システム面を最適化している企業はテレワークを導入可能な環境が整っている場合が多いと言えそうです。

 では、環境の整っている企業の中でもすでに導入済みの企業と導入に至っていない企業(導入可能群)にはどのような傾向があるのでしょうか。下記の図を見ると、前者は、「顧客満足度、営業力の向上」「イノベーション創出の環境づくり」といった企業競争力を高める目的意識が高い特徴があります。一方、後者は「人材の採用・確保、流出の防止」「育児による退職の防止」「介護による退職の防止」といった、いわば福利厚生的な目的意識が高いことが分かります。

テレワーク導入の目的(複数回答)

(出典)総務省「ICT利活用と社会的課題解決に関する調査研究」(平成29年)

 一方で、導入に至っていない企業がテレワーク導入にあたって、どこに課題や不安を感じているか総務省のまとめた資料を見ると、最も課題とされるのが「情報セキュリティの確保」 、続いて「対象業務が絞られる」「適正な労務管理」と続きます。

 対面での接客が必要な販売業や、工場施設が必要な製造業での仕事は、物理的にテレワークが難しいという課題はありますが、「情報セキュリティ」や「労務管理」に関しては、最新のITを駆使したクラウドサービスとして比較的安価に導入できるサービスが増えています。テレワークを導入する企業の多くは、そうしたサービスを利用して不安を解消している様子が伺えます。

テレワークの導入にあたっての課題、導入するとした場合の課題(複数回答)

(出典)総務省「ICT利活用と社会的課題解決に関する調査研究」(平成29年)

最後に

 これまでは、育児や介護など家庭の事情を理由に在宅で働ける手段として「テレワーク」が理解されていましたが、今回の新型コロナウイルス流行による外出自粛要請など、非常災害時の対応としても脚光を浴びています。

 企業や経済の成長に欠かせない存在は「人材」です。その人材や同僚、家族を災害から守り、安心して働ける環境をつくることが急務です。

 そのためには、不安と感じる「セキュリティ」や「労務管理」はITを駆使することで解決し、働く人と企業に新しい働き方の選択肢としてテレワーク、リモートワークが早く定着することを願っています。


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