【前編】リモートワークは特別な会社の特別な働き方?リモートワークジャーニー@釧路レポート
「らしくの実現をサポート」するLASSIC(ラシック)だから、自分たちの「らしく」の可能性も追求したい―。そんな想いから、さまざまな「らしく」を研究し、レポートをお届けしたいと思います。
【リモートワーク編】第三弾は、第一弾・第二弾を読んで(くれていたら嬉しいけれど、読まれていなくても)、「リモートワークってなんだか良さそうだけど、難しいんでしょう?」「一部の会社だけの話ですよね?」と感じている方に向けて、「本当に私でもリモートワークってできるの?」を考えていきたいと思います。
レポーター:八田 亜由子(はった あゆこ)
株式会社LASSIC IoEソリューショングループ所属。
個人の「自分らしさ」を大切にした生き方と持続的な社会を両立するための手段として、リモートワークに興味を持ち、研究中。倉貫さん主催のリモートワーク普及に向けたコミュニティ「リモートワークジャーニー」にも参画中。
そのヒントを探すために向かったのが、2016年7月23日(土)に北海道釧路市で開かれたイベント「リモートワークジャーニー@釧路」。新しい働き方を先行し、周りに影響を与えられているゲストの皆さんと、地域で暮らし、働く皆さんとの対話の中から、「リモートワークで『らしく』ワークライフバランス」を実現する方法を探ります。
イベントの詳細は、YouTubeで配信されていますので、詳細はそちらをご参照ください。
https://www.youtube.com/watch?v=yPo4R5H-mHg
さて、そもそもリモートワークってどういうこと?
具体的に考えていくために、まず言葉の定義をはっきりさせておきましょう。
「リモートワーク」と似た概念の言葉で「テレワーク」という言葉があります。そのテレワークのコンサルティング事業を行う株式会社ワイズスタッフの田澤さんに伺いました。
「ICTを活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方、それがテレワークです。」
田澤さんは配偶者の転勤で縁の薄い地域に転居しながらも、「働き続ける」ことを実現したいと自らが新しい柔軟な働き方=テレワークにチャレンジされてきました。ご自身の経験からノウハウを広める事業を展開されています。
「テレワークの『テレ』は離れているということ。会社や店舗といった本来働くのはこの場所だと定められたところから離れて働く働き方です。
この働き方をすることで、働きたくても働けなかった人が働けるようになるというメリットがあります。」
当レポートで研究している『リモートワーク』の『リモート』も離れているということを意味しています。つまりテレワークとリモートワークはほぼ同義と言えますが、特に、会社に所属する=雇用される形で離れて働く形を『リモートワーク』と定義しています。(下の写真の図の上半分のエリア)
柔軟な働き方を認めてくれる会社なんてあるの?
「らしく」の実現を目指したい私たちにとって、「場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」という言葉は大変魅力的に響きます。場所や時間の制約から自由を得た分で、自分が大切にしたい自分らしさと働くことを両立することができるからです。
例えば、通勤の時間に代わって育児や介護に向き合ったり、大切にしたいふるさとで暮らしたり。
けれど、個人にとって魅力的でも、企業にとってはどうでしょう。社員が柔軟な働き方をすることは企業にとってどんなメリットがあるのでしょうか?企業にとって魅力的でなければ、個人がいくら望んでも『リモートワーク』は実現しないのでは。
そんな疑問に、田澤さんは力強く「変化の波が来ているのです」とおっしゃいます。
「今まで在宅勤務はできないと思われていた企業が続々取り組みを始めています。最近は毎日のようにリモートワークのキーワードが新聞に並んでいて、大企業が動きつつあることが分かります。」
なぜ大企業を中心に、そのような変化が起きつつあるのでしょうか?
一つには、女性活躍を促進する手段としての注目があります。まだまだリモートワークできる企業が少ない中で、それに取り組むことは企業イメージの向上につながります。そしてもう一つ、田澤さんが言及されたのは「介護離職」のリスクでした。
「5年以内に介護を担う可能性のある40代以上の社員は約87%。これからの時代、働いている人が介護を担うことが当たり前の時代になります。そんな時代に、従来通り朝から晩まで所定の場所に来られる人しか雇えない企業は人材不足で大変なことになると思います。」
企業も優秀な人材確保という目的でリモートワークに取り組むようになるだろう、という未来予測。さらに、地方創生の観点からも、地方でのリモートワークを後押しする動きがあるのだそうです。
地方で暮らしながら
最新のICTを活用して
地方の仕事を奪うのではなく
都会と同じ「いつもの」仕事をする
総務省が進めている施策が「ふるさとテレワーク」では、そのコンセプトの下で雇用型のテレワーク(リモートワーク)で働く形をつくることで、地方と企業に新しいつながりを生み出そうとしています。
参考:ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業について
http://www.furusato-telework.jp/
このように、官民それぞれの中に、リモートワークを後押しする流れが生まれてきているようです。
離れているのにどうやって一緒に働くの?
では、どうしたら「雇用されながら離れて働く」ことが実現できるのでしょうか?
企業で働くということは、その企業の中で組織の一員として働くということ、つまりチームワークを発揮する必要があります。離れている仲間たちでどうやってチームを作るか、この難しい命題をどうしたら解けるのでしょう?
この命題を解く鍵も、田澤さんの取り組みに見つけることができました。自分たち自身が場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を実践しているワイズスタッフの皆さん。彼女たちが働くのは、オフィスに必要な道具、仲間とのコミュニケーションといった『オフィス丸ごとすべて』をインターネット上に構築したヴァーチャルオフィスです。
「Sococo Virtual Office」というツール上に、社長室に○○チームの島、会議室…などオフィスの機能をそのまま再現して、この中で仲間との多様なコミュニケーションを実現しているとのことでした。
「Sococo Virtual Office」
http://www.telework-management.co.jp/services/tool/sococo/
リモートワークと言っても一人で仕事をしているわけではなく、ツールを活用することで一緒に働く仲間のことをいつも意識できるようです。デモ画面を見ることでその雰囲気を垣間見ることができ、会場からは「これなら楽しそうですね」という声も上がっていました。
社員のほとんどが地方でのリモートワークという形で働いているソニックガーデン株式会社の事例も、オフィスにいるのと同じチームワークをネット上のオフィスで実現していました。
自分たちが使いたいツールを自分たちで作ったという「Remotty」は、一緒に働く仲間の様子が見えるWebカメラと個人個人に話しかけるチャットルームで構成されています。
「Remotty」
https://www.remotty.net/
実際に働いている様子の動画を見せていただくと
仲間のチャットルームに話しかけに行ったり
話が盛り上がっているうちになんとなく覗きに来る仲間が増えてきたり
Remotty上で、オフィスでよく見るコミュニケーションが行われていました。
もちろん、Remottyは少人数のコミュニケーションだけではなく、オフィスの全員に話しかけるという機能もあります。
みるみるうちに沢山の仲間が集まってくる様子は、実際のオフィスではむしろ難しいことのように思えました。
リモートワークでもチームワークは実現できる。リモートワークだからこそ、より気軽に純粋なチームワークが見えてくるのかもしれません。
ツールは揃った、あとは…?
リモートワークを実現するための各社の工夫を聴くことで、リモートワークは決して特別な会社の特別な働き方ではなく、ちょっとした工夫で実現できる働き方であることが分かりました。
次に心に浮かぶのは、「自分はそれを使いこなせるんだろうか?」ということ。
「ワークライフバランスは人の生き方。ダイバーシティは社会のあり方。
テレワーク、リモートワークはこれらの大切なことを実現するための手段に過ぎません。」
田澤さんがおっしゃるように、「らしく」を実現していくために、リモートワークという手段を使いこなす。そんな自分になるためにはどうしたらいいのでしょうか?
後編はそのカギに迫ります。
後編はこちらから
【後編】地方でリモートワークで働くために、都会に攻め込んでいけ!リモートワークジャーニー@釧路レポート
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